研修が始まって始まって初めて知った種類の降圧薬ARNI(アーニー)
ANPとレニンアンジオテンシン系に作用する。進化の過程から話すとスムーズ。
水中の生物と陸上の生物は住環境が全く異なるのは自明。
しかしどちらの生物も体内Nα濃度が同程度。
水中生物の場合
魚たちは海水をエラから取り込む。彼らは心臓を挟むように水圧と浮力の影響を受けているため心臓から血液をポンピングしやすい。そのため血圧は40〜70mmHgと低くて良い。
しかしそのためにはナトリウムは体外に排泄する必要がある。それを可能にしたのがANP。
一方陸上生物の場合
水分やナトリウムが欠乏しやすい。
心臓から血液をポンピングする際重力に逆らう必要がある。そのため高い血圧が必要。
ではどのように血圧を維持するのか。もちろんそれは水分とナトリウムを血中に保持することによって可能になる。さらにそれはレニンアンジオテンシン系によってコントロールされる。
このようにして両者の体内塩分濃度は同程度となる。
ARNIはこれを利用している。
つまり高血圧の患者に対して塩分を排出するANPの作用を亢進させ、塩分を吸収するRASを抑制すれば血圧は落ちるのではないか、ということ。
〜作用機序〜
エンレストはサクビトリル・バルサルタンの複合体
バルサルタンはそもそもアンジオテンシン受容体拮抗薬(AT1阻害薬)であり、アンジオテンシンⅡの作用を抑制する。
サクビトリルはANPの作用を亢進させる。
どういうことか?
ANPは細胞膜上の酵素、ネプリライシンによって分解される。
サクビトリルの活性代謝物はネプリライシンの作用を阻害する。
エンレストの使い方
1日1回200mgから開始。max400mgまで増量可能。腎機能要確認。
降圧薬の第一選択薬とはならず、他の薬剤で高圧効果を十分に得られなかった場合に使用する。(例外あり)
つまり他の薬剤からの切り替えもしくは併用で使用すること。